家づくり

エストニアで家をつくる(建築許可編)

エストニアで家をつくる(建築許可編)

前回の家づくりの記事がなんと一年以上前。間取りやらなんやらを構想していたわけですが、6 月の結婚を機に本格的に家づくりを始めたのでゆるっとまとめていきます。 JPEE エストニア・アンソロ(Kindle 版)で”しおり”名義でエストニアで家をつくるを執筆したのでそちらもよろしければ是非読んでみてください。結構一般的な家づくりの流れとエストニアの家の特徴をさらっとまとめてあります。このブログ上のエストニアで家をつくるでは実際の手続き諸々を書いて行こうと思います。

タイムラインと概要

時期 内容 値段 コメント
2021 年 6 月 建築ガイドライン申請 25€ 地方自治体。建築計画書に必要。
2021 年 9 月 建築ガイドライン受理 6-8 月はバケーションなので返信がない。
2021 年 10 月 トポロジカルマップ申請 160€ 測定士。建築計画書に必要。
2021 年 10 月 トポロジカルマップ受理
2021 年 10 月 土地の切り取りと名付け申請 300€ 地方自治体。建築計画書に必要。
2021 年 11 月 エネルギー効率計算申請 160€ エネルギー効率計算の専門家。建築計画書に必要。
2021 年 11 月 エネルギー効率計算受理 最初は B だったのでソーラーパネルを付け足したものを再提出して A に持っていった。
2021 年 11 月 建築計画書 ① 提出 150€ 地方自治体。
2021 年 12 月 土地の切り取りと名付け受理
2022 年 1 月 建築計画書 ① 却下 150€ 地方自治体。理由:井戸建築の不備。
2022 年 1 月 井戸建築許可申請 30€ 地方自治体。建築計画書に必要。
2022 年 3 月 井戸建築許可承認
2022 年 3 月 建築計画書 ② 却下 理由:屋根の形がガイドラインに沿わない。
2022 年 3 月 建築ガイドライン再申請   ↑ で地方自治体の建築士に屋根の形 OK もらってることを伝えると、ガイドラインを書き直すように言われたので新たに取得。
2022 年 4 月 建築計画書許可  

建築ガイドライン

ある土地に対してどんな建物が建てられるかの指標。建築計画書はこれに准ずる必要が有ります。 6 月に提出したのにまさかの 3 ヶ月(?)の夏休みということでなかなか次のステップに進めず大誤算でした。

わたしたちの家の場合、

  • 1 階または 1.5 階推奨
  • パステルカラーの外壁
  • 屋根の角度は 20 度以上
  • 建築位置(川の近くは避ける)etc

などが書かれていました。階数はいいにしても、外壁の色指定は流石に驚き。おそらく近くの義兄の家が水色だからだと思いますが、もともと一般的な白で考えていたので「白はパステルカラーに含まれるのか」と疑問は残ります。建築位置や建築工法(屋根の角度など)に比べるとそこまで強い縛りではなさそうです。屋根も正直微妙な形をしていたのですが、地方自治体の建築家から許可を得たので一安心です。なおこの形を反映させるためにはガイドラインを再申請する必要がありました。

トポロジカルマップ

社会の授業で学ぶ地図のようなもの。実際に測定士に依頼して標高やら地図記号やらが書かれた地図を作成してもらいました。

土地の切り取りと名付け

広大な土地の区画を分けて建築予定地には新しい名前をつけました。普通なら土地を買う場面で既に住所がありますが、わたしたちの場合はストリートの名前すらない場所だったので名付ける必要がありました。ド田舎じゃない限りよっぽど飛ばせる工程のはず。

Jaapan(日本・主格)のような固有名詞はダメだけど、Jaapani(日本・属格)は OK らしいです。結局わたしに関連する日本語をエストニア語訳したものにしたので、そこそこ一般的な感じの地名になりました。考えてみれば地名は常に属格かな?

実際に Jaapani で調べてみると既に存在したこと、そしてその真横に Vene(ロシア)があったのはなかなか面白かったです。日本人の方なのかはよく分かりませんが…

エネルギー効率計算

専門の方に依頼して家のエネルギー効率を計算してもらいました。A が最も効率の良い家でほぼゼロエネルギー、日本にある ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)みたいな感じだと思います。確か新築の最低ランクが B(それ以下は建てられない)と、太陽が極端な北欧なので日本よりもかなり厳しい審査です。

最初の提出ではほぼ A に近い B ランクだったので、太陽光パネルを設置して A ランクの評価をもらうことができました。

ちなみに以前建てられた家はさらに低いランクもあるので、エストニアで家を購入するときはエネルギー効率は気にしたほうが良いと思います。冬の光熱費が桁違いに変わります。A だとローンの優遇なんかもあります。

建築計画書

建築許可がないと建築はできません。建築許可をもらうためには間取り、構造、材料などが細かく書かれた建築計画書を提出する必要が有ります。図や文字も多めで 40 ページぐらいになりました。

建築計画書を出した段階でさまざまな分野のチェックが入ります。建築はもちろん、環境、消防など。一度で通ることはまずないので建築家の間ではピンポンと呼ばれるほどです。とはいえ一回目に比べて二回目以降は修正するだけなので、比較的緩やかに多方面から丸をもらうような感じです。

1 回目

まずは申請、ということで

  • フォーマットの修正
  • 図面の修正
  • 井戸の建築許可が必要

思ってたよりも修正箇所が少なかったようですが、井戸の建築許可は以下に書かれている通りすぐ会社に依頼しました。

2 回目

井戸の建築許可が出たところで二回目のピンポン返しが始まりました。

  • 屋根の形がガイドラインに沿わない

屋根の形は地方自治体の建築士に既に許可をもらっていることを伝えると、ガイドラインを更新しろと言われました。

3 回目

ガイドラインを再申請してピンポンに臨んだら、屋根の形も認められ無事に建築許可が下りました!

井戸建築

一回目の建築計画書が帰ってきたときに「井戸の建築許可が出ないと家の建築許可は出せない」と言われたので、すぐに会社に依頼しました。1 ヶ月半ぐらいで建築許可が出たのでスムーズでした。

まとめ

最終的に建築許可までの書類だけでほぼ一年かかりました。あとから考えてみればもっとスムーズに行えたものもたくさんありますが、なんやかんやで半年ぐらいは見積もったほうが良さそうです。土地の名付けやら井戸やら街に建てたらスキップできるプロセスじゃないかとは思いますが、わからないまま手探りで進めたところもあったのでいい経験にはなったと思います。働きながら着実にわたしたちの家のプロジェクトを進めてくれる夫に感謝しつつ、今年中には引っ越せたら嬉しいです。