先週ワクチン接種を終えたので電子国家といわれるエストニアで気づいたことなどを書き留めていこうと思います。
いろんな情報がポータルにまとまめられていて見やすいです。エストニア語以外にもロシア語と英語での情報発信がされているので外国人のわたしも困ることなく必要な情報を手に入れることができました。
エストニア政府はとにかく情報発信力が高いです。例えばコロナに関する情報は、ワクチン(コロナに限らず)に関する情報はにまとまっています。情報の透明性が高いことも国民からの信頼を高めている理由です。そんなおかげで変なデマ情報に踊らされることはまずありません。
予約はもちろんオンラインで、というのも特別コロナのために作ったシステムではなく元々医療関連の事務はほぼ電子化されています。わたしが昔二日酔いがひどすぎて病院に行ったときのカルテもしっかり残っています。
アストラゼネカの血栓症(といってもかなり稀な副作用)などが報告され不安に思った人も少なくない中でファイザーやモデルナなど予約の時点で自分の打ちたいワクチンを選べるようにしました。これは他の国でもあまり聞かない試みなのでわたしの中でトップを争うエストニアの功績です。
予定通りすべての摂取希望者には年齢ごと(10歳毎)に予約が開始されました。摂取は国籍や保険の有無に関わらず居住者は全員無料で集団免疫の観点から見ても良い判断だったと思います。ここで(年齢ごとに区切っても)数万人単位で一気に予約が押し寄せるわけですが、オンラインで行列を作るなかなか面白いシステムが登場しました。新米エンジニアなので仕組みがよく分からないですがトラフィックをさばくために別のアプリが存在して自分の番になると目的のアプリにリダイレクトされるような仕組みです。 30歳以下は夜7時に予約開始でしたが朝から行列で並んでいたら早すぎて年齢制限予約できなかったりでタイミングがギリギリ合わずに夜6時頃から並び始めて5時間後ぐらいに自分の番が来ました。少し後に予約した彼はファイザーワクチンの残り50ぐらいだったので予約開始時間に行列を始めていたらおそらくファイザーは取れなかったと思います。
上にも書いたように国民医療サイトは元々存在して、それにトラフィックをさばく機能をつけた(もしかしたら元々ついているのかも?)ので、ワクチン予約以外の目的で医療サイトを使いたい人にはとばっちりで数時間待たされたことになります。既にみんなが使えるサイトでの予約はワクチン接種をスムーズにしてくれた反面、ほかの用途のユーザーまで待たせてしまうという欠点にもなりました。
集団接種会場はタリンのTondirabaのスケートリンク(?)でした。雨が降っていて遅れたらいけないと思い少し早く家を出ました。広い駐車場の横にある建物の入口にはエストニア語とロシア語で交互に叫ぶ「入場者の時間を知らせるおばさん」がいました。おそらく入場人数制限をしているので接種時刻の5分おきに入れる仕組みになっていました。わたしは少し早く着いてしまったものの流石に雨の中外で待たされるとも思わず傘も持たずに人と距離を開けて列に並びました。おそらく10分以上待ったあとにやっと自分の接種時間が入れるようになりました。エストニア語とロシア語のどちらも分からない人には難易度の高い入場になったと思います。
入口では「エストニア語かロシア語どっちがいい?」と聞かれたのでもちろんエストニア語と答え、エストニア語話者の列に並びました。ちなみに横で「英語はないの?」と聞いていたお兄ちゃんはすっぱりとNOとともに「エストニア語かロシア語選んでね」と言われていました。言語話者が分かれるエストニアでここでの区別は合理的とはいえ【エストニア語チョットワカルロシア語マッタクワカラナイ】みたいなレベルの人間にはなかなか恐怖の待ち時間でした。そもそもワクチンを打ちに来ただけなのに何を話しているんだ?日常会話が限界なのに医療系の話されたらどうするんだ?と冷や汗ダラダラで待っていたところ自分の番が来ました。あくまでエストニア語余裕ですよ風にTere~!(こんにちは)と流れるように挨拶し、あちらからTereが返ってきた5秒後にHello?と言われました。圧倒的見た目がアジア人なのでエストニア語が話せない人間だと思われたのでしょう、だいたい合っています。英語のほうが得意で"natuke eesti keeles"(エストニア語は少し)と伝えたところ、気さくなお医者さんが"little English"と返してくれました。二人でほほえみ合う謎の時間。正直エストニア人だから英語話せるだろうと思っていましたが、少し年齢が高かったのでこれはちょっと怪しいかもしれないと思い始めたところで苦手な英語で問診が始まりました。途中たどたどしい部分もありましたが質問も「気分はいいか」「熱はないか」「コロナにかかってないか」みたいなものだったので非常にわかりやすく、わたしがエストニア語でも理解できたのにお医者さんに苦手な英語を使わせてしまって申し訳ない気持ちになりました。とてもいい人柄だったので終始笑顔で会話を続け、2回目の接種の予約の紙をもらったあとに自分のワクチン接種の番号を教えてもらいました。
ワクチン接種は番号付きの小さな仕切りの中で行われました。中に入ろうとするとスタッフブログに「ちょっと待っててね、すぐ取りに行って戻るから」とエストニア語で言われてオッケーと返してわたしの顔を見た途端英語で同じこと言われました。「アジア人を見たら英語」という判断はほとんどの場合正しい(英語を話せないのにエストニア語だけ話せるエストニア在住のアジア人なんてそもそも存在するのか????)ので連絡をより迅速におこなうには最善の選択だと思ってます。1分も絶たずにお医者さんが来て、同じようにエストニア語→英語の切り替えが行われた後に「準備はいい?」と腕の痛みなどの副作用の説明を受けたあとにプスッ。今までで受けた注射の中で一番痛みを感じなかったぐらいには痛くないので注射嫌いの人も安心してほしい。激しい運動禁止〜などの説明の後に「サウナもダメだよ!」といわれたときにかなりの北欧を感じました。
すぐに横にある待機スペースに案内され(なぜかアメをもらった)、空いてるところを探して自分で15分タイマーセット。特になにもないままソーシャルメディアをあさり、時間が来たらそのまま帰宅しました。
会場がシンプルで流れるようにワクチン接種の作業が行われる中で、言語での選別により更にスムーズに効率よくワクチンが打てました。エストニアで何度もお医者さんにかかっていますが、どのお医者さんもスタッフさんもフレンドリーで人柄が良かったのでかなり満足度の高いワクチン接種になりました。医療従事者やエストニア政府ほか、関連するすべての人に頭が上がりません。2回接種して抗体が完成するまではまだまだ引きこもり生活を続けていきます。あとすこし、頑張りましょう〜!